カレンダー
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
フリーエリア
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ガク
性別:
男性
ブログ内検索
アクセス解析
category:レビュー
楠木正成(北方謙三)
初の北方謙三。歴史小説で司馬遼太郎以外の本を読むことが初めて。北方氏は南北朝時代前後の作品が多く、楠木正成に興味があったので読んでみた。
河内を支配した悪党の棟梁、楠木正成が主人公。倒幕を中心にして、建武の新政時代まで。自刃した湊川の戦いの直前で終わるので死なない。
主人公正成が、武士でも公家でもない「悪党」という鎌倉末期特有の階層であることが興味深かった。(この時代の"悪党"とは現代の悪者の集まりという意味ではない。というより、この時代"悪"という漢字は必ずしもネガティブな意味で使われず、武に猛る、勇敢という意味にも使われる) 悪党として生き続ける道を探し悩んだ正成の内面が、どの時代の武士も持たない独特のもので面白い。「男の死に様、すなわち如何に生きるか」というのが北方氏の創作テーマらしいが、悪党のそういう独特の価値観をうまく表現してる。
ただ、全体的に「説教くさいなー」とは思った。くさい台詞も乱発するとかっこわるい。あと、登場人物もみんな人間味に欠けてるのもちょっと残念。例えて言うならジブリのナウシカみたい。話は面白いし伝えたいこともわかるんだけど、登場人物が基本みんな真面目で話が緊張しっぱなし。
PR
category:レビュー
義経(司馬遼太郎)
今まで司馬遼太郎の幕末モノばっか読んできたので、時代を変えてみた。
幕末と違って時代が古代~中世なだけに描写がとても神秘的。武士の価値観も貴族・庶民の感覚も当然違うから、幕末モノばっか読んでいた自分にはそういうのがすごく新鮮だった。
一番の見所はなんと言っても義経と頼朝の価値観の相違。
あまりに純粋で政治的痴呆な義経。怜悧冷徹、常に政略第一で物事を考える頼朝。兄であるという血縁意識を過剰に持ち頼朝を信じ続ける義経と、彼の能力を恐れ討伐するに至る頼朝。日本史上屈指の悲劇が巧みに書かれててとても面白かった。源平の争乱といったら単に「源氏vs平氏」としか思ってなかったけど、源氏側での勢力図がこうも複雑であるとはしらなんだ。
が、最後だけはいただけない。衣川の戦い全部カットというのはいくらなんでも・・・。
category:レビュー
新選組血風録(司馬遼太郎)
新選組の短編集。「燃えよ剣」を読んで新選組に興味持って、その延長といった感じで読んでみた。長編と比べるとどうしても物足りない感じがするのは否めないが、逆に気楽に読めるのでそれはそれで面白かった。
15編あるが、新選組をプラスに書いていない話が多い。むしろ主人公にとって新選組が敵である話もある。そしてバッドエンドも多々。「後味悪いなー」っと思っていたが、こういう話を多く盛り込むことで司馬氏は新選組の隊規の厳しさを表そうとしたんだろうか?
個人的には、山崎丞が主人公でかの有名な池田屋事件が舞台の「池田屋異聞」、甲州出身の隊士がなかばいやいや仇討ちをする「海仙寺党異聞」、斉藤一が主人公で谷三十郎の新選組との関わりが題材の「槍は宝蔵院流」、新選組の砲術模様を描いた「四斤山砲」が面白かった。
category:レビュー
世に棲む日日(司馬遼太郎)
幕末長州人2人の物語。前半は吉田松陰、後半は自分の大好きな高杉晋作。
賢者のようなイメージのあった吉田松陰だったけど、これを読んでがらりと印象が変わった。行動・思想がぶっ飛びすぎ。彼の「狂」という思想そのままに、彼の人生は彼が狂人かと思わせるが如く波乱に満ちていて、ただただすごいなぁと思うばかり。安政の大獄で囚われてから至った彼の死に対する思想「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし」という言葉は名言であると思う。
後半の高杉晋作。同著者の「竜馬がゆく」を読んでカッコいいと強く思い、それで彼に興味を持ったのがこの本を読もうと思ったきっかけ。彼も吉田松陰と同じく行動に飛躍があり、周囲の人たちを常に驚かせる。尊皇攘夷思想と藩主への強い忠誠心とで、一件矛盾するかのような独自の考えを持つ高杉。彼の幕末長州での活躍は神出鬼没の軍神というにふさわしく、まさに幕末の英雄。
高杉晋作の人生を究極に要約したのが、彼の辞世の句
「おもしろき こともなき世を おもしろく (すみなすものはこころなりけり)」
百五十石のよい家に産まれ育ち、普通に暮らせばまず平穏で安定し詩人として生涯を終えたであろう男が、久坂玄瑞と交友を持ち吉田松陰に学び、自ら幕末の荒波に身を投じて時代を動かし、しかしついには維新を見ずにこの世を去った。そういう波乱に満ちた人生の最後の言葉が上の句。高杉の人生ならばもっと他に盛り込むこともあるだろうに、あえてこういう句にしたあたり、彼の独特の人生感が窺える。
タイトルの「世に棲む日日」というのは、「高杉の半ばふざけたような辞世の、それも感じようによっては秋の空の下に白い河原の石が磊々(らいらい)ところがっているような印象から」つけたんだそうだ。
高杉晋作の人生は本当におもしろい。
category:レビュー
竜馬がゆく(司馬遼太郎)
全8巻。これまでこんな長編小説、しかも歴史物なんて読んだことなかったため、最初は読みきれるか心配だった。が、そんな心配は微塵も必要でなかった。面白すぎて、後半なんか物語が終わってしまうのが惜しいくらいに思えた。幕末を舞台にした歴史物としても、そして坂本竜馬という一人の男の物語としてもこの本はすごく面白い。これまで読んだ本の中でもっとも面白かった本になった。
坂本竜馬が19歳で故郷土佐から江戸の千葉道場へと向かうところから、大政奉還を実現し33歳でこの世を去るまでを描いた作品。
内容としては大きく5篇に分けられる。
北辰一刀流の剣客として名を上げる一方でやがて幕末の時勢を肌で感じるとるようになる「立志篇」
武市半平太と袂を分かち脱藩し、勝海舟と出会って開国論を持つようになる「風雲篇」
京都の凄まじい時勢の変化をよそに神戸軍艦操練所で軍艦調達に奔走する「狂瀾篇」
その操練所も池田屋ノ変の影響幕府に潰されてしまうもあきらめずに亀山社中(海援隊)を結成し、中岡新太郎とともに薩長同盟を成し遂げ第二次長州征伐で幕府海軍と海戦を繰り広げる「怒涛篇」
薩長の軍事力を背景に大政奉還案を掲げ奔走し、ついに維新を成し遂げる「回天篇」
最後暗殺されて終わる彼の人生だが、読み終わった直後はなんとも言えずすがすがしい想いになれる。竜馬の時勢を見る目もさることながら、彼の生き様は尊敬に値する。この本、いや坂本竜馬の生き様は、人の人生観を簡単に変えてしまえるほどに壮大・劇的で、読みながら男のあるべき姿のようなものを考えさせられた。武田鉄矢が心より敬愛するのも非常に理解できる。
もっと早く、できれば10代のうちに読んでおきたかった。そんな名作。
Copyright © Schwarzmagier All Rights Reserved.