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十一番目の志士(司馬遼太郎)


高杉晋作に才能を買われた長州の剣客「天道晋助」の話。


少年マンガを読んでいるような爽快さ。圧倒的な剣の腕前一つで、次々と危地をくぐり抜けていく様が痛快。中二病患者が好きそうな小説とも言える。

難しい話は何もないので、幕末史に疎い人でも読めると思う。土方歳三や坂本龍馬といった幕末のヒーローも多数登場して濃密に晋助と関わっていくので、なんとなくでも幕末を知っているひとなら楽しめるはず。

しかし、自分の大好きな司馬氏の長い"余談"(歴史評)がないので若干の物足りなさを感じた。「竜馬がいく」や「燃えよ剣」とは違い実在しない人物が主人公なため、主人公を通して歴史について想いを巡らすというよりも単純にエンターテイメント性重視な感がある。



主義・思想があって行動しているわけではなく、ひたすらに刺客として人を斬り続けることが自分の使命と信じ生きる晋助。

ごちゃごちゃ理屈を考えず行動によって自分の存在価値を示す生き方は、ある意味憧れる。行動原理を他人に求めるなど現代では評価され得ない生き方だが、700年の封建社会を覆し近代化を実現させたのはこういう一途な維新志士達の想いなんだろう。
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国盗り物語(司馬遼太郎)

戦国の物語。全4巻。徒手空拳で美濃を盗った斉藤道三が主人公の前編と、道三が国盗りの夢を託した織田信長が主人公になる後編からなる。前半は完全に道三が主人公だが、後半は信長よりむしろ明智光秀が主人公。

前半の道三のストーリーはとにかく痛快。還俗し乞食同然の身からやがて京の油商人になり、美濃で天才的な才略で国盗りを展開する様子は、テンポもよくて一気に読んでしまえた。(最近の研究では、道三の史実がこれとは違うんじゃないかという流れになっているようだが・・・) なんとも魅力あふれる"蝮の道三"だった。

後半は明智光秀に焦点が置かれている。道三が愛した2人の人物、信長と光秀。その二人が本能寺の変という結末を迎えるとは歴史はなんとも皮肉。裏切り者の印象の強い光秀だったが、読んでみてむしろ光秀を好きになった。美濃の名家の出身ながら、道三の義子である義竜のクーデターのために没落。その日食べるものにも窮するほどの貧困生活を送りながらも、幕権復活という壮大な目標を掲げて志を決して捨てずに諸国を奔走する光秀。彼のその志の高さは、後世にまで伝えられるべきだろうと思った。志を遂げ将軍義昭を擁立するもしかし最終的には義昭を廃するに至り、彼の人生をかけてきた夢が崩れ、そして信長に便利な道具のように使われていくことからついに謀叛に至る。原因に諸説ある本能寺の変の司馬流解釈が、光秀の心情変化の描写がとてもうまいのでそれが真実のように思えてきた。

信長も勿論天才的な軍略で天下統一を目指した魅力ある人物だが、光秀の方が複雑な内面を持っていて人間としてより興味深い人物だと思った。
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酔って候(司馬遼太郎)

幕末の賢候4人の物語。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。

幕末の主人公たる者は、例えば坂本竜馬だったり、西郷隆盛だったりと殿様格の身分でない人ばかりで、頑迷固陋な幕府体制に立ち向かっていった連中ばかり。が、一方で四賢候(山内容堂、島津斉彬、松平春嶽、伊達宗城)のような人物も現れ、日本を支えたのもまた事実。日本が佐幕か勤王かで割れているときにそういう藩主達が何を思い何を行ったのか。そういった幕末のいわば脇役を主人公にして、別角度から幕末の動乱を書いた作品でありとても興味深かった。

個人的には山内容堂の物語が印象的。維新史ではどうにも悪者扱いされがちなポジションだけど、ものの考え方や論理の基準が、自分とどこか似通ったところがあり理解できる。誰よりも思慮深く意志も大きかっただろうに、結局佐幕にも倒幕にも一役買えなかった。ひたすら酒を飲む他なかった。そんな気持ちも理解できる。
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楠木正成(北方謙三)

初の北方謙三。歴史小説で司馬遼太郎以外の本を読むことが初めて。北方氏は南北朝時代前後の作品が多く、楠木正成に興味があったので読んでみた。

河内を支配した悪党の棟梁、楠木正成が主人公。倒幕を中心にして、建武の新政時代まで。自刃した湊川の戦いの直前で終わるので死なない。

主人公正成が、武士でも公家でもない「悪党」という鎌倉末期特有の階層であることが興味深かった。(この時代の"悪党"とは現代の悪者の集まりという意味ではない。というより、この時代"悪"という漢字は必ずしもネガティブな意味で使われず、武に猛る、勇敢という意味にも使われる) 悪党として生き続ける道を探し悩んだ正成の内面が、どの時代の武士も持たない独特のもので面白い。「男の死に様、すなわち如何に生きるか」というのが北方氏の創作テーマらしいが、悪党のそういう独特の価値観をうまく表現してる。

ただ、全体的に「説教くさいなー」とは思った。くさい台詞も乱発するとかっこわるい。あと、登場人物もみんな人間味に欠けてるのもちょっと残念。例えて言うならジブリのナウシカみたい。話は面白いし伝えたいこともわかるんだけど、登場人物が基本みんな真面目で話が緊張しっぱなし。
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義経(司馬遼太郎)

今まで司馬遼太郎の幕末モノばっか読んできたので、時代を変えてみた。

幕末と違って時代が古代~中世なだけに描写がとても神秘的。武士の価値観も貴族・庶民の感覚も当然違うから、幕末モノばっか読んでいた自分にはそういうのがすごく新鮮だった。


一番の見所はなんと言っても義経と頼朝の価値観の相違。

あまりに純粋で政治的痴呆な義経。怜悧冷徹、常に政略第一で物事を考える頼朝。兄であるという血縁意識を過剰に持ち頼朝を信じ続ける義経と、彼の能力を恐れ討伐するに至る頼朝。日本史上屈指の悲劇が巧みに書かれててとても面白かった。源平の争乱といったら単に「源氏vs平氏」としか思ってなかったけど、源氏側での勢力図がこうも複雑であるとはしらなんだ。


が、最後だけはいただけない。衣川の戦い全部カットというのはいくらなんでも・・・。
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